ホイットニーヒューストンの神がかり的地声

今までの記事の中では何回も
”ミックスボイス”
という発声方法について語ってきました。

その代表としてご紹介したのが”YUBAメソッド”。

ではミックスボイスができれば、歌って上手くなるのでしょうか?
発声がきれいなら、歌はうまいのでしょうか?

 

ミックスボイスが手に入ったらできること

声帯とその周りの筋肉を短い状態で使う地声、

そして

長く伸ばした状態で使う裏声、

 

そのどちらの筋肉の使い方も、それぞれ訓練することで
地声が得意な低めの声を出す時には裏声の感覚を混ぜ、
裏声が得意な高めの声を出す時には地声の感覚を混ぜることで
低い音から高い音まで、一定の響きを保ちながら移動できる。

 

裏声の感覚とは声帯から息を漏らす=息を含ませた声、

地声の感覚とは声帯を締め息を漏らさない=息が混じらない声。

 

外国人アーティストだとセリーヌディオンはミックスボイスができる代表格と言われています。
日本人アーティストでいうと、アンジェラアキさんやスピッツの草野君

 

ミックスボイスとは、地声の要素と裏声の要素を、どの音程でも使うことができ、その効果として地声と裏声の境目で起こる換声点が無くなる技術...

とでも言えるかもしれません。

 

ホイットニーヒューストンの歌声

ホイットニーの歌声を、あまりご存じない方もいるかもしれませんね。
90年代にスーパースターとなり、マイケルジャクソンと方を並べていたDIVAです。

彼女はミックスボイスではなく、地声を張り上げて歌っていたsingerですね。
歌っているとき、顎がすっごく動いているんです。

 

以前は

「どうして彼女はあんなに顎が動くんだろう?」

って不思議だったんです。
みなさんやってみてできたらすごいです!

顎に力点があるんだと思うんです、彼女。
じゃなければ、ビブラートかける時に顎があんなに動くなんてありえない!

でも地声がかなり強く、それと薬物使用のせいであそこまで強靭な地声を張り上げることができたのかもしれないのですが、天性の音域を持っていたので、本当に神業だったんだなぁと思います。

そうなんです!

ミックスボイスが生み出した歌声ではなく、彼女の歌い癖が創り出した産物=神様からの贈り物なんです!

 

WhitneyHoustonホイットニーヒューストンというジャンル

彼女が世に出る頃、有名な洋楽の女性シンガーと言えばシンディローパー、シーナイーストン、オリビアニュートンジョン、あたりかな?

高いキーでパワフルに歌うという意味ではアレサフランクリンやチャカカーン、ユーロビートだとシェリルリン。

さすがにそれぞれ独特な個性を放っていますよね。

その中でも、「Saving all my love for you」を聴いた時は本当に衝撃的でした。今まで聞いた事がない声、歌、パワフルさ。

そして・・・
今から思うと、そこにはどうしようもない枯渇感や淋しさに似たものを感じ取っていたのかもしれません。堂々として笑っているんだけれど、ずっと何かを追い求めて探しているような必死さ。

単純に上手いとか、声量があるとか、音域が広いとか、、、そんなくくりではない、全く違うジャンルのよう。
それは、いつもどこかで命がけで歌うホイットニーヒューストンというジャンルだったのかもしれません。

 

声が出せないWhitney

復帰を果たしたWhitney。

この映像は恐らく、復帰してそんなに経っていない頃だと思います。

本当は、復帰したての頃の映像、歌声を見ていただきたかったのですが
あいにく数年前にごっそり削除されてしまいました。

声はかすれ、がなり上げる声、必死に歌うWhitneyの姿。

奇麗という言葉とはほど遠い彼女の姿。

でも・・・

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その”生き返ってきた”彼女の歌う姿に、私は感動せずにはいられませんでした。

声が出せないからこそ、彼女の天性の感性、リズム感が生き生きしてきます。
もしかしたら、復帰に合わせて、それこそYUBAメソッドのような発声を取り入れていたら、時間はかかってもこれほど酷くはならなかったかもしれません。

 

世界ツアーでの酷評

薬物の恩恵か、甘い呪いか、彼女の尋常ではないパワフルな発声は、復帰後にはみるかげもなく、恐らく、声帯と声帯の周りの筋肉は目も当てられないほどの状態だったと推測します。

私はさいたまスーパーアリーナでのライブに行きました。
アリーナ席、しかもVIP席。

しかし実のところ、チケットはあまり売れていなかったようです。
VIP席なのに、心ない方が何人かいらしていました。
彼女への野次とバッシング。

でも、日本でのライブはとてもよかったんですよ。
時間が短縮されたわけではないし、最初から最後までちゃんと歌えてたんですから。

スペインだかどこかの国でのライブは、気管支炎も患ったためにほとんど歌えなかったと聴きました。お客様の中には返金を求める人もいたと聞きます。

 

I’ll never leave,never!〜命がけで歌う

彼女はライブでこの言葉を私たちに伝えました。

I’ll never leave,never!

復帰以降、何回彼女はこの言葉を口にしたのでしょう...

私が生きるべきはこの道、この世界、このステージ。
だから私は二度と過ちは犯さない、私は歌い続ける。

そんな魂からの叫びだったように思えます。

かつての声じゃないこと。
かつでの姿ではないこと。
それは誰より、彼女が一番感じていたこと。
変わってしまった自分を曝け出そうと、この道しかないんだ!という強い意志。

ちょっと想像してみてください。
老いて変わって行くのではなく、誰から見ても”変わり果てた”姿で表舞台に立つ勇気。

金銭的に困ったんだろう、、、だから歌しかなかったんだよ。

そうかもしれません。
そうだとしても、針のむしろを覚悟で、わざわざ傷に塩水をしみこませるようなことを、誰が好んでするでしょうか?

命がけで歌う歌手、WhitneyHoustonの誕生。

私はさいたまスーパーアリーナでのライブを見たとき、彼女が生きていてくれることに、心から感謝しました。その気持ちは今でも変わっていません。

 

ミックスボイスは万能じゃない

whitneyがミックスボイスに長けていなかったから、あれだけ世界中を振るわす歌が歌えたんじゃないかと私は思います。

それが私の感じた枯渇感と寂しさにもつながっていたのかもしれません。
確かに、ミックスボイスは歌い手が歌手として歌える寿命を延ばしてくれます。

でも、

だからと言って、ミックスボイスは万能じゃない。
1つの手段であり、道具でしかありません。

例えば、Whitneyが歌うAllways Love You。
もし、ミックスボイスで朗々と歌い上げてしまっていたら、あの緊張感を彼女は醸し出せていなかったかもしれません。

本当なら、ミックスボイスは使えるけど。今は使わないの・・・くらいに選択肢として、地声も裏声もミックスボイスも、自分の裁量次第でいかようにでも組み合わせて表現できるっていうのが理想だなぁと思います。

 

まとめ

地声をかなり強く高音まで歌い上げるホイットニーヒューストン。
その地声はまさしく神がかっています。
顎が強靭だったのでしょう。

ミックスボイスという概念は恐らく黒人の発声法がヒントになっているのではないかと思います。声帯と声帯の周りの筋肉の弾力、柔らかさ、厚み・・・。
普段から声帯の周りの筋肉を使う言語=息をたっぷり使い、子音をふんだんにつかう言語。

しかし、ホイットニーは彼女だけが持っていた歌唱能力、高音まで強められる地声と小さい声で使われる裏声。その絶妙なコントラストがホイットニーワールドを作っていたと私は考えます。

多くの人々が憧れ、でも決して手の届かない、自分のものにはならないあの歌唱力。

でもだからこそ、もっと追いかけたくなる。

正しい発声法を超えたものがそこにあるから。

 

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