今日は、声楽家であり教授でもある弓場徹先生とのボイストレーニングレッスン風景を振り返ってご紹介します。
目次
2009年 衝撃的な歌声
私が弓場先生に師事していた頃の、最初で最後の発表会での音源です。
ピアノを弾いてくださっているのはピアニストでもある先生の奥様。
前日から発熱しながらの歌唱でしたが、歌い終わった後、弓場先生が愉快そうに手をたたいて笑っていらっしゃるのが印象的でした。
他の方々からはとにかく
「すごいっ・・・」
という声と、声も歌い方も
衝撃的な歌声
で、ある意味”迫りくる怖さ”すら感じた と評していただきました。
我ながら、これだけのパワーをこの1曲に込めることができる自分であることを幸せに思うとともに、そんな私を放し飼いの如く好きにさせてくださった弓場先生の寛大さに感謝です。
普通のトレーナーならこんなことはさせてくれません。
喉を痛める原因になるから・・・。
でも弓場先生がご自身のメソッドに自信があるからこそ、こんな無茶を許してくださいました。
この時があったから、今の私がいます。
間違いだらけの発声方法
君の発声、おかしいよね?
23歳頃からボーカルスクールに通い始めました。10人を越えるボイストレーナーに習ってきたのですが、その中お一人から、私の発声についてこんなことを言われました。
「君の発声はおかしいよね?だいたい、話し声と歌声がそんなに違うって変だろう、普通じゃない!」
話し声と歌声って同じじゃなきゃいけないの?
私はそんなにおかしい?
話し声って何?
全人格を否定されているようなショックにさいなまれながら、次に何をしたらいいのかを泣きながら考えました。
話し声は“地声”というものらしい。
じゃあ、地声で歌えるようになればいい?
どうしたら地声で歌えるようになる?
そんなことをきっかけに、私は地声とはなんぞや、正しい発声方法ってなんだ?と、その答えを求めて探すことになりました。有るときはボーカルスクール、ある時は本、有るときは耳鼻科のお医者様・・・
それから10年ちょっとたった頃、ある発声方法を試した男性のサイトを見つけました。
新しい発声論理との出逢い
そこには声帯の構造から導き出した”発声方法”と”トレーニング方法”が載っていました。
「声帯を短く使う低い音域が得意な地声と、
声帯を伸ばして使う高い声が得意な裏声と声には2種類ある。
でも声帯自体が自ら伸びたり縮んだりするのではなく、
声帯の周りについている筋肉が動いて声帯の形が変わる・・・・・・
地声と裏声の換声点の不安定さを乗りこえるには
声帯の周りの筋肉を鍛える必要がある。
その方法は、地声と裏声を別々に鍛えること。
そしてそのときには大きな声を使って練習しないと、
付加がかからず、なかなか筋トレにならない・・・・・」
というような内容でした。(今はそのサイトがなくなっているのでうろ覚えでごめんなさい)
もしかしたら、これかもしれない...
私がずっと探してた”声が出るメカニズム”
そこに書かれてあったのは、今まで聞いたことがなかった説ででした。
歌の上手い下手は感性だったとしても、声を出すということについては感性や才能ではなく、誰にもある程度の可能性があるはずだ、と以前から私は思っていました。それまでは地声から裏声に声が変わる換声点の扱いについては、少なくとも私は、どのトレーナーからも聞いたことがありませんでした。
もしかしたら私もこの方法で地声が出せて、裏声とのバランスがとれるようになるかもしれない!
その発声方法の提唱者が“弓場徹”先生だったのです。
弓場先生のレッスンってどんな感じ?
載っていた連絡先に、すぐに、ほんとに読んですぐ電話をしました。
レッスン料は30分16,000円+スタジオ使用料。
その金額に一瞬ひるみました。が、賭けてみよう!と心に決めたんです。
もしかしたら本当に私が探していたものかもしれない。
今まで多くのスクールに行き、トレーナーにかけてきたお金と時間に比べたら・・・
そして、たまたま1枠あいていた朝のレッスンに申し込みました。
弓場先生のレッスンはとにかくテンポが早く面白い!例えばこんな会話・・・
「君、音符読める?(私:いいえ)。」
「英語、できる?(私:いいえ)」
「OK!音符読めなくても、英語できなくても歌えるからっ。大丈夫!たいした問題じゃない!」
「(発声の仕方が気持ち悪いと、言われたことについて)まあ一般ウケはしないけど、それくらいのことだから」
「君、アメリカ人と付き合ったことある?俺はあるんだけどね。
まあ、すっごくpassionateな人たちなんだ」
そして、あるレッスンの音源がこちら↓です。
時間が30分きっかりしかないので、部屋に入ってすぐ発声練習が始まります。
このレッスンは、入室後0:05あたりから始まり、
そして実際の歌唱指導は7:40あたりから始まりまっています。
弓場先生からの忘れられない言葉
恐らくこの先も私の力となり、勇気となってくれる言葉です。
「発声はいつでも教えてあげられる。
けれど情熱は教えてあげられないんだ。」
この言葉はYUBAメソッン教室の発表会に向けたレッスン時にいただきました。
私が選んだ曲は、ミュージカル『ドリームガールズ』の中で、ジェニファー・ホリデーやジェニファー・ハドソンが歌った激情的な歌。
自分から心が離れていく恋人に
「言っておくけれど、あなたが愛してるのは私なのよ、あなたは私を愛するのよ、いい?わかった?」
と、ちょっと脅迫ちっくな歌です。
でも当然、恋人は彼女を捨てるのです。そんなアメリカ人らしい肉迫が存分に描かれた歌は
「And I am telling you,I’m not going」
私はお世辞にも肉食系には見えないため、当初弓場先生は心配なさっていたようです。
ところが・・・
音取りが終わり、実際に歌い出したら弓場先生がびっくりなさって、挙げ句の果てには半笑いに近いお顔をなさっていました。
そして・・・
「いやー、びっくりしたよ!
見た目と全く違って、そのギャップがすごく面白い!!
日本人は情熱的になることが本来苦手なんだ。だからこういう歌も合わないことが多いんだけれど、
君にはその情熱がある。
発声方法はいくらでも教えてあげられるけれど、
情熱を持つことは教えてあげたくても教えてあげられないんだ。
当日は発声のことは一切忘れて、女王様になったような気持ちで堂々と歌いなさい」
普通のトレーナーなら、なんとか体裁を整えようと、
正しい発声に近づく歌を選ぶと思います。
それにあの発声では、正直声帯にも顎にもかなりの力がかかってしまし、故障するリスクが高まるのです。
でも弓場先生は敢えて、発声の正しさより、私の情熱、個性を尊重してくださったのです。
その背景には、YUBAメソッドへの絶対的な自信と信頼があればこそ。
後からでも、私を正しい発声方法で歌わせることが出来る!という自信ですね。
その結果、発表会でのこの歌唱になったわけです。
私の考えるYUBAメソッドの可能性
音痴矯正
実は弓場徹先生は、日本でも、いえ世界でも数少ない
音痴矯正
のできるドクターなのです!
そもそも、音痴とは不治の病ではなく、
声帯の伸縮幅が少ないために起きる現象
そう、現象 に過ぎないのです。
声帯の伸び縮みで音の高低が作られるのですが、その高さの幅が狭いと、当然作られる音階も少なくなります。
例えて言うなら、
長さが3cmのゴムが2本あるとします。
それを定規の上において伸ばしてみたら
20cmに伸ばせるゴム と 5cmにしか伸ばせないゴム
であることがわかりました。
声は、声帯が伸びた時に高音が出ます。
では、ゴムが声帯だと仮定すると、どちらのゴムがより音域が広がるでしょう?
より長く伸ばせる声帯(声帯の周りの筋肉)の方が、
より多くの音階を刻め、発声することができる
のですね!
音痴の方は、この声帯(声帯の周りの筋肉)の収縮率が、一般の方より低く、筋肉が固いことが原因で起きると考えられています。
なので、
YUBAメソッドで声帯の周りの筋肉のストレッチをしましょう!
という方法なのです。
松田聖子さん
YUBAメソッドは、声帯の筋肉を鍛え、声帯の伸縮をスムーズに行うためのトレーニング方法。
松田聖子さんに、是非弓場先生のところで診断&メンテナンスしてもらいたい!
と前から思っているんです。
彼女はアイドル時代から、若さにまかせて声帯を酷使してきました。
時間はかかるかもしれないけれど、また原曲のキーで、デビュー時以上に歌える可能性だってあるんです!
松田聖子ファンクラブ会員である私としては、そして歌を生きがいとしている身として、切に思います。
まとめ
☆弓場徹先生に師事していた頃の発表会音源をご紹介し、マイクなし、生ピアノ演奏バックで歌う臨場感をお伝えしています。
☆YUBAメソッドに出逢う道のりを振り返って、地声、裏声、ミックスボイスを意識し出したきっかけをご紹介しています。
☆YUBAメソッドの概要に触れ、その論理的な根拠をご紹介しています。
☆弓場徹先生のレッスンの様子や、影響を受けた言葉をご紹介し、弓場先生の人間像をお伝えしています。
☆私が考えるYUBAメソッドの特徴とその可能性をお伝えしています。
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あなたの歌ライフに少しでもお役に立ちますように・・・
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[…] YUBA(弓場)メソッドにおいては、 […]